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2016年9月 9日 (金)

第2回連続講座の報告

「日本国憲法公布70周年記念 連続講座 日本が再び『戦前』にならないために
  ~平頂山事件に至る時代と今の時代を比較して~」

 2016年8月22日月曜に,日比谷図書文化会館にて第2回目の連続講座が行われました。講師は東京大学教授の石田勇治先生です。

 今回の課題は,
 「ナチ・ドイツと民主主義  なぜ文明国にヒトラー独裁政権が誕生したのか?」
と題するものでした。


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   石田先生のご専門は「ドイツ現代史・ジェノサイド研究」であり,講談社現代新書から『ヒトラーとナチ・ドイツ』を昨年出版されたばかりでもありますから,このテーマでは現在考え得る最高の講師であったと言えると思います。
 石田先生はこの講座のためにわざわざレジュメ・資料とスライドまで用意して下さり,ヒトラー独裁をまねいた経過についてとてもわかりやすく立体的に説明して下さいました。
 民主的といわれていたヴァイマル(ワイマール)憲法には「大統領緊急令」という抜け穴がありました。
 選挙で選ばれた大統領には,「公共の安全および秩序に著しい障害」が生じる恐れのあるときに,「必要な措置」をとることができるとの規定があったのです。これが「大統領緊急令」であり,法律と同じ効力があるとされていました。

 そのため議会が空洞化し,大統領に選任される首相が,自分に都合のいい緊急令を出せるようになってしまったのです。

 その後,ヒンデンブルク大統領から首相に選任されたヒトラーも,この緊急令を利用して言論を統制し,ナチの突撃隊や親衛隊を「補助警察」として格上げすることで暴力装置を手に入れ,最後には国会で「全権委任法」(授権法)を成立させてすべての権限を獲得してしまうのでした。

 まさに,どこかの党の「憲法草案」での緊急事態条項が成立したらどういう危険があるかを,そのまま示唆するかのような内容でした。
 石田先生の『ヒトラーとナチ・ドイツ』にも記載のないような資料とお話しが盛りだくさんで,大変勉強になった学習会でした。

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