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2016年11月 7日 (月)

第3回連続講座の報告

「日本国憲法公布70周年記念 連続講座 日本が再び『戦前』にならないために

 ~平頂山事件に至る時代と今の時代を比較して~」

 2016年10月17日(月曜)に,文京区民センターにて第3回の連続講座が開かれました。講師は中央大学教授の吉見義明先生です。

 今回の課題は,
 「庶民の視点から ~ 戦前の民衆生活と戦争」
というものでした。

 いわゆる「従軍慰安婦」問題の第一人者として著名な吉見先生ですが,他方で民衆の戦争体験を研究テーマのひとつにされており,2014年には
 「焼け跡からのデモクラシー」(上下巻)
という書籍も発行しています(岩波書店)。


 今回は会場の席がすべて埋まってしまうほど大勢の方が参加してくださいました。本当にありがとうございます。

Img_1221  吉見先生は,山形県の小作農・阿部太一という人の日記や,福井県の自作農・山本武という人の従軍記録,それに飛行機工場に動員された青木祥子という女生徒の日記などから,普通の庶民がこの戦争の時代にどのように翻弄され,あるいは時代を認識していたかについてお話をして下さいました。
 いずれも,どちらかというとかなり冷静に時代を観察していた人たちだったようです。それぞれが状況に対して批判的な視点をもちつつも,自分たちのおかれた状況と折り合いを付けなければならなかった様子がうかがえました。


 個人的には,日清戦争・日露戦争と日本は戦争に勝ち続けてきていたので,そもそも一般の庶民に「戦争に反対する」という視点はなかったというご指摘が興味深いと思いました。敗戦という痛切な失敗から再出発した戦後とはまったく違ったのです。


 当時の時代状況は,日本の満州への権益は生命線だというものでした。それに異を唱えていた少数の知識人が,吉野作造や石橋湛山でした。そして敗戦によってそれが崩壊しても,実際には日本は戦後に経済成長を遂げることもできたのです。

 果たして,現在絶対的に必要なものと思われている日米同盟をはじめとする世界秩序も,本当に必須のものといえるのかどうかを改めて考えてもいいのではないかとする吉見先生のお話には,多くの参考とすべきところがあるのではないかと感じました。

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