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2017年6月 5日 (月)

第7回連続講座の報告

「日本国憲法公布70周年記念 連続講座 日本が再び『戦前』にならないために

 ~平頂山事件に至る時代と今の時代を比較して~」

 第7回連続講座が2017年5月16日に,文京区民センターで開かれました。
 講師は井上久士先生(駿河台大学教授)で,演題は「平頂山事件を考える -わかっていること,まだわからないこと-」というものでした。

 
この企画は,昨年来続けてきたこの「連続講座」について,これまで撫順のことを知らなかった多数の参加者に足を運んでいただいてきたことから,原点に回帰して改めて「平頂山事件」と「撫順戦犯管理所」を取り上げることにしたものです。
 今回は,平頂山事件研究の第一人者である井上久士先生から,最新の研究成果に基づく報告が行われました。


Img_1336  井上先生はこの日のために新たにレジュメを用意して,豊富な写真をもとにわかりやすい説明をしてくれました。

 井上先生の業績といえば,平頂山事件実行部隊の責任者である撫順守備隊長・川上精一大尉の不在説が流布される中で,川上精一が確かに撫順にいたことを証明する「撫順新報」号外(『平頂山事件資料集』102頁)や「月刊撫順」(同123頁以下)を発掘したことで知られています。





 さらに井上先生は,平頂山事件のきっかけとなった「遼寧民衆自衛軍」による撫順炭鉱襲撃事件である「撫順事変」について,1933年に奉天新聞社撫順支局が発行した『撫順事變記念寫眞帖』という貴重な写真資料も発掘しました。
 これには,撫順襲撃に参加した「遼寧民衆自衛軍」の兵士の所持品や,住民虐殺のためこれから平頂山に向かおうとする撫順独立守備隊・撫順警察署員らの写真まで残っています。平頂山での虐殺に使われたのではないかと思われる機関銃まで写っていました。

Dsc_0574  この貴重な資料を井上先生は,一昨年2015年9月の「第11回平頂山事件国際学術シンポジウム」で平頂山惨案遺址紀念館に寄贈しています。


 今回の連続講座では,この最新の資料による写真も公開されました。

 平頂山事件について,当時日本国内で言及された出版物として唯一明らかになっているのが,三宅雄二郎・安部磯雄監修による『昭和七年史』(1933年2月)という書物であるという情報も,知らない人が多いのではないかと思います。


 以上のように今回の勉強会は,平頂山事件をより深く理解することのできる非常に充実した内容となっていました。非常に多くの方々が参加して下さり,積極的な質疑応答が展開されていました。

 次回ではいよいよ,「撫順戦犯管理所」を取り上げることになります。
 

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